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JR常磐線・千代田線「綾瀬駅」徒歩2分の「東京綾瀬腎クリニック」にて院長をしています。院内広報誌の内容と日々の想いを掲載しています。

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二次性副甲状腺機能亢進症について
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二次性副甲状腺機能亢進症について

腎不全の合併症に「2次性副甲状腺機能亢進症」という病気があります。腎臓が悪いために副甲状腺ホルモンが出過ぎる病気です。この病気が進行すると骨や血管が悪くなるので、進行しないようにリン・カルシウム・副甲状腺ホルモン(PTH)を調整するお薬を飲んでいただいたり注射したりしています。今回はこのことを少し詳しくお話しします。

ホルモンにはいろいろありますが、いずれもごく微量でからだの調子を整える役割をしています。腎臓病で関係の深いホルモンには造血ホルモン・血圧上昇ホルモン・副甲状腺ホルモンがあります。この中で、副甲状腺ホルモンというのは、くびの前側に4つあって、ビタミンDやその他の物質とともに、からだの中のカルシウムとリンのバランスを整え、骨を持続的に生まれかわらせている重要な物質です。

腎臓が悪くなるとビタミンDが腎臓で活性化されなくなり、ビタミンDが力不足になるとカルシウムが食べ物から吸収されず血液中のカルシウムが減ります。すると副甲状腺ホルモンが出て、これの作用で骨を溶かして血液中のカルシウム値を正常化しようとします。
また、副甲状腺はリンの排泄を増やす働きがあるので血中リンが高いとリンを排泄させようと副甲状腺ホルモンがたくさん出てしまいます(腎臓が悪いので実際には尿からリンの排泄は増えず血中のリンは下がりません)。こうして副甲状腺ホルモンたくさん出続けると、骨のカルシウムが減り骨がもろくなって、痛み、骨折しやすくなります。加齢や閉経でも骨は弱くなりますからそれに拍車がかかります。副甲状腺ホルモンが多く出続けていると、そのうちカルシウムが低くなくても出続けるようになり、からだの高カルシウム・高リン状態が持続して、からだの骨以外の部分にカルシウムとリンの要らない石灰の塊を作り痛みや運動障害を起こしたり、血中に過剰になったカルシウム・リンが血管壁の石灰化を起こして血管の弾力性を損ない血液の流れを損なう、異所性石灰化が進みます。
高リンを抑え血中のカルシウム・リンを適正値にして、副甲状腺への刺激を減らすことが、副甲状腺ホルモンがからだにとり適正量出ている状態にする最初で最大の対策となります。

血液の目標値は P 3.5~6.0mg/dL、補正Ca 8.4~10.0mg/dLです。リンの摂取量を800mgにしましょうとよく医師や看護師・栄養士からお聴きだと思いますし、長時間透析では限定自由食が可能と言われていますが、その根拠を次回ご説明しましょう。
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